機種ごとの違い

あらゆるコンピュータ、ゲーム機に移植されたシムシティ2000。前作ほどではないにせよ、大家族になっています。はっきり言って把握しきれません。

ここでは私の知る範囲での各機種毎の情報をまとめてみました。

系譜図

シムシティ2000

コンピュータ版
|├ Macintosh
|├ DOS/V
|├ PC-98
|├ FM-TOWNS
|├ Amiga
|├ Acorn Archimedes
|├ OS/2
|├ Windows
||├ Windows3.1
||└ Windows95
|└PocketPC

コンシューマ版
  ├ スーパーファミコン
  ├ セガサターン
  ├ プレイステーション
  ├ ニンテンドー64
  └ ゲームボーイアドバンス

親戚にあたるもの

├ シムシティ2000 ネットワークエディション
├ シムシティ64
├ シムコプター
└ ストリート・オブ・シムシティ

コンピュータ版

日本語版が存在

  • Macintosh版(1993)
  • PC/AT互換機(DOS/V)版(1994)
  • PC-98版(1994)
  • FM-TOWNS版(1994)
  • Windows3.1版(1994)
  • Windows95版(1995)

海外版のみ

  • Acorn Archimedes版(1993)
  • Amiga版(1994)
  • OS/2版(1996)
  • PocketPC版(2001)

基本的にはどれも大きな差異はありません。細かいところでは機種やアップデートの差異によって、アルコが飛んだり飛ばなかったり、人口の限界が異なったりします。

PC版の各種パッケージと日本語版の販売元について

日本における各種PC版は、TONWS版(後述)を除きイマジニアがゲームをローカライズした上販売を行っていました。後年は日本に進出したマクシス(後にEAに吸収)による直接販売に移行しています。

イマジニアが発売したものについては、同社サイトのサポート終了情報から発売した製品一覧の情報を得ることができます。(未掲載のものもあるようです。)

長年販売されたこともあり、パッケージにさまざまな形態(下記)が存在しています。

シムシティ2000(無印)

中身はゲーム本体に4つの都市、5つのシナリオが付属しています。日本でイマジニアが発売したものは、この頃のPCゲームによく見られる立派なハードケースに入っています。本家の米国版は立派な紙箱入りです。

一部を除いて無印PC版はフロッピーディスク数枚組での提供です。

シムシティ2000 シナリオVol.1

本体と別売りの追加シナリオ集です。"Great Disasters"という副題がついており、ド派手な災害が発生するシナリオが収録されています。Vol.1と銘打たれていますが、その後の展開は残念ながらありません。

どんなシナリオが収録されているか具体的に知りたい方は、シナリオ攻略のページを参照してください。

シムシティ2000 アーバンリニューアルキット

これも本体と別売りの形で提供された、マップ・建物エディタです。

シムシティ2000 CDコレクション

これまで発売されたアーバンリニューアルキット、シナリオVol.1をシムシティ2000本体とセットにしたうえ、付属の都市・シナリオ(ボーナスシティ&シナリオ)をさらに追加したパッケージです。名前の通りCD-ROM媒体での提供です。

シムシティ2000 スペシャルエディション

PC版シムシティ2000のパッケージとしては最後発のものです。日本ではここでマクシスの直接販売に移行しており、外装が米国版に準じた紙箱に変わりました。これもCD-ROMによる提供です。

本家米国版では更なる都市・タイルセットの追加や、開発者ウィル・ライトのインタビュー動画視聴機能が追加されているのですが、残念ながら日本版の中身はCDコレクションと同等のものになっています。

晩年日本ではマクシスを買収したEA買収から、EA BEST SELECTIONとして再発売されています。一般的な厚めのCDケース(前期)と、トールケース(後期)の二種類の外装が存在します。廉価版の位置づけなので、マニュアル類は簡略化され、主要な内容はCD-ROM内のPDF内に収められています。

その他日本独自のパッケージ

上記のパッケージは、マクシスから米国でも発売されたものになりますが、日本ではイマジニアから独自のパッケージも発売されています。

無印シムシティ2000にシナリオVol.1を同梱した「シムシティ2000 デラックス」や、CDコレクションからアーバンリニューアルキットを省いた「スペシャル」、関連作のシムタウンとのセットが確認されています。

日本語版が存在するコンピュータ版

Macintosh版

一番最初にリリースされた、オリジナルのバージョンです。OS Xより前のいわゆるClassic Mac OS向けのソフトなので、現代のMacでは動作しません。

Mac版

目立った特徴としては、他PC版と比べて若干効果音が異なっています。

プログラム本体のバージョンは1.0~1.2までありますが、バージョン1.1ではアルコが飛ぶようになり、バージョン1.2はゲームスピードの追加(アフリカツバメ)や、アーバンリニューアルキット対応が行われています。その他に何故か住宅地の高級分譲マンションのグラフィックの色に変更が加えられています。同名の建物とグラフィックが似ていたためでしょうか。画像は日本語版バージョン1.2です。

日本語版は海外のようにパッチの提供がなかったことから、バージョン1.0と1.2のみ存在(アーバンリニューアルキット対応の有無)すると思われます。

最終バージョンは妙なバグも少なく、全てのシムシティ2000のオリジナルという点でマニア的ポイントは高いのですが、1ボタンマウス仕様で操作の快適性が劣ったり、プレイ環境を整えるハードルが高かったりするのが辛いところです。

PC/AT互換機(DOS/V)版

シムシティ2000の初移植作で、IBM PCとその互換機のDOS環境用にマクシス自らの手で移植されました。開発元の米マクシスでは単に"DOS Version"と呼称しています。

その他PC版の多くはこのバージョンのベタ移植となっています。後に続くWin3.1、Win95版の都市やシナリオデータのフォーマット、音楽まわりも、このバージョンを踏襲しています。

こちらはバージョン1.0と1.1が存在し、1.1の更新ではアルコが飛ぶほか、アーバンリニューアルキット対応が行われています。

DOS版

現在エミュレータDOSBox上で動くものがOriginやGOGで安価に販売されており、現在もっとも入手とプレイしやすいシムシティ2000です。ただ、英語版のみの提供で、オリジナルの仕様的に画面解像度が小さかったり、プレイの快適性には難があります。

PC-98版

PC/AT互換機版をさらに移植したもので、大きな差異はないようです。

FM-TOWNS版

これもまたPC/AT互換機版を移植したものですが、イマジニアによる移植ではないため、他PC版と比べて訳周りが大きく異なり、かなりくだけた感じです。タイトル訳も「シムシティー2000」と長音記号が入ったものになっています。

TOWNS版は富士通による販売で、ユーザーズガイドのクレジットによれば、本作の移植の大部分(本体プログラムおよびマニュアル・パッケージ周り)は"LANPRO LOCALIZATION CENTER,INC,"という会社が担当しています。

その他、サンプル都市の付属がないようです。

Windows3.1版・95版

こちらもマクシス自らの移植です。Windows版には2種類あり、Windows3.1版と95版があります。基本的な作りは両者同じです。Win版は他PC版と比べ画面のズーム段階が1段階増えており、高解像度モニタでのプレイに適しています。

各PC版で流れる音楽には若干の差異がありますが、特にこのWindows版は何故か音楽のバリエーションが少ないです。データ上ではゲーム上で流れないBGMもしっかり存在するので、設定ミスのような感じがします。

Win95版

Win95版は現代の環境への導入に少し手間がかかるものの、一番快適に遊べるバージョンです。後述する関連作ともプラットフォームが共通です。ただ、致命的な問題ではないのですが、先述の流れるBGMが少ないことや、軍事基地が正常に発展しないという残念なバグがあります。

PC用日本語版シムシティ2000を探している方へ

現在サポートが提供されているOSで仮想環境を介さずプレイできるのは、Win95版しかありません。Windows環境のある人は、導入にひと手間かかりますが、「Win95版」の「スペシャルエディション」か、「CDコレクション」を探しましょう。これらは先述したように全部入りのパッケージになっています。

単に「Windows版」と称しているものはWindows 3.1版の場合があるので注意が必要です。箱に「WinG対応」の記載があったり、媒体がフロッピーディスクのものはWin3.1版です。

Mac版やDOS版をプレイできる環境があるのなら、そっちを購入するのもありかと思います。

コンシューマ版

あの有名ゲームの続編が登場!ということで、当時の主力ハードにも軒並み移植されました。しかし、当時のPCでもそれなりの性能を必要とするゲームだったので、多くの移植にスペック不足の感はぬぐえません。各機種を比較すると、ハード性能の差が露骨に表れています。

日本語版が存在

海外版のみ

スーパーファミコン版

イマジニアの発売ですが、移植はHAL研究所が担当しています。無理やり16ビット機に移植したためか、結構な変更点があります。

スーパーファミコンは当時のPCと比べて性能が優れているとは言えないハードですが、そのスペックにあわせた丁寧な移植がされています。しかし、いかんせん素のスペックが低いのはカバーしきれていません。オリジナルから省かれた要素が多々あります。全体的にMac版を参考に移植しているようです。

週間ファミコン通信(1995年4月21日号(No.331)には開発に自ら携わったHAL研究所岩田社長(当時)のインタビューが掲載されており、やはり処理速度の点が苦労した点として挙げられています。

主な変更点は下記のとおりです。

  • マップの仕様
    マップの大きさがPC版と比べ若干狭くなっています(128x128→96x96)。また、地形のエディット機能がなく、新しい都市を造る際は、既成の5マップから地形を選択します。
  • グラフィック
    グラフィックもスーパーファミコンに適した形で描きなおされており、一部建物グラフィックはPC版と異なる姿となっています。解像度の関係からオリジナルと比べ荒いです。画面のズームは2段階のみです。
    その代わりアニメーションによる演出は強化されています。天候については、雨や雪が目に見える形で表現されるようになりました。また建物を破壊した際のアニメーションのバリエーションが増えています。見ていて気持ちよく、市長の破壊衝動を刺激します。
  • 音楽
    開発画面でのメインのBGMは2種類しかなく、物足りない感じです。その代わりBGMは原曲をSFC音源に合わせていい感じにアレンジされています。この他シナリオではオリジナルの専用曲が用意されています。
  • シナリオ
    すべてオリジナルのシナリオです。5本収録されています。その中の1本は、アルコの飛ぶシーンを見ることができます(派手なものではないでが、PC版のような単なる爆発ではありません)。また、シナリオによって一部建物が置き換わります。
  • ゲームスピードと動作速度
    ゲームスピードは2段階(時間を流すか止めるか)だけで、日時の経過は絶望的に遅いです。1000万人都市を目指すならば、外出中、就寝中も電源を入れっぱなしにする覚悟が必要です。リアルタイムでプレイしていた時は、実際にそうしていました。
    動作速度は悲しいことになっています。データを圧縮しているのか、都市のロードやセーブにはカセットにも関わらず時間がかかります。マップ画面の切り替わりも遅いです。
  • その他
    追加要素として「練習モード」と称するチュートリアルや、アルコ乱立のマンネリ時へ気の利いたプレゼントの追加があります。
    省かれた要素には災害(暴動、毒雲、火山噴火等)の一部削除や、新聞の縮小(1社のみで掲載記事も少ないです)があります。

セガサターン版

日本ではセガより、海外ではマクシスから発売です。海外版のマニュアルやゲーム中のクレジットの記載を見ると、セガの協力の下、マクシス自ら移植を行ったようです。基本はPC版そのままの移植ですが、グラフィック面に独自の要素を追加しています。

建物のグラフィックが時代の変化に応じて3段階に変化するようになっています。2段階目(1950年以降)の建物こそPC版と同様のスタイルの建物ですが、一から描きおろしたのか微妙に異なっています。その他、銅像はソニックの銅像(日本版のみ)に、ラマ・ドームは宇宙港に変更されています。

シナリオは、PC版のものが追加シナリオ含めほぼすべて(ラスベガス除く)収録されているうえ、レアな東京シナリオ(日本版のみ)もプレイできます。

動作速度に関してはPC版とは比べ物にならないものの、コンシューマ版のなかでは後発の64版に次いで早いです。サターンの得意とする2D性能のおかげでしょうか。

ゲームディスク内には拡張子が異なるものの、コンピュータ版用の都市データがそのまま収録されています。PC版と同様の都市データを扱っているところを見ると、内部処理もPC版に準じた処理が行われていると思われます。クレジット的にDOS版ベースの移植のようです。

プレイステーション版

日本ではアートディンクより、海外ではマクシスより発売です。コンピュータ版との差異はほとんど無く、シナリオも通常シナリオ、追加シナリオがほぼ両方そろっています。コンシューマ移植の中での忠実移植度は一番ではないでしょうか。

ただ操作性と処理速度はよくありません。操作系はマウス操作を基本に造られており、パッドでの操作もマウス同様の操作を強いられるためストレスを感じます。処理は全体的にカクカクした感じで、アニメーションもガタガタです。

建物グラフィックはSS版と同じものを使用していますが、時代ごとに変化する仕様にはなっていません。

おまけとしてドライブモードと称したストリート・オブ・シムシティとシムコプターもどきが遊べますが、本当におまけで、特に楽しめる代物ではありません。このモードの3Dモデルは、シムコプターのものを流用しています。

SS版で飛んでいたアルコは、PS版では飛びません。

こちらもSS版同様PC版と同様の都市データがゲームディスク内に収録されており、ゲームの処理もPC版に準拠していることが伺えます。

SS版とPS版については使用されているデータの共通点が多く、こちらもマクシス自身での移植と思われます。

ニンテンドー64版

ハードもソフトも後発の移植なだけあって、動作速度は最速、操作性も比較的良好と家庭用最強!…と言いたいところなのですが、所々に見える雑な仕事と妙なアレンジのせいで、移植としては物足りないものになっています。素直にベタ移植するか、アレンジ要素をもう少し煮詰めてくれればコンシューマ最高のシムシティ2000になっていたと思うので、惜しい作品です。

違いが多いので、特設ページを設けています。

ゲームボーイアドバンス版

海外のみ発売のため詳細は不明です。

プレイ動画などを見ると、地形を既存のマップから選んでいたり、3x3の建物をマップ端に建てていたり、PC版とはいろいろの違いがありそうです。

派生、関連作品

シムシティ2000 ネットワークエディション

1996年にはシムシティ2000の派生版として、Windows95専用のネットワークによる都市の共同経営が可能なネットワークエディションも発売されました。

最大四人までの多人数仕様のため、土地の売買や電力の取引などの機能が搭載されています。基本の仕様は原作同様です。ただ、ゲーム本編のセーブデータは独自形式で互換性はありません。ゲーム開始前であれば、シムシティ2000の都市データをネットワーク用のマップとしてインポートすることも可能です。

日本語版もしっかり発売されているのですが、当時のネットワーク環境の普及具合を考えると、どれほど売れたのかは謎です。

ネットワークエディション

Win10 64bit環境下でも難はありますが、一応ネットワークを介した他人数プレイを楽しむことができます。現代の環境では、サーバープログラムの動作が不安定で、クライアントとの同時起動がうまくできません。サーバーとクライアントを仮想PC等の別環境に用意すれば、この問題は解決できます。しかし、肝心の対戦相手を見つけることが一番困難です…。一人プレイもできるのですが、それならオリジナルのシムシティ2000を遊んだほうがよいです。

原作同様、ゲームに明確な目標があるわけではないので、共同プレイの形は様々です。ただ、各プレイヤーが開発するのはあくまでも一つの都市であるため、プレイヤーの一人がまずいプレイをしていると、全員足を引っ張られるようになっています。

シムコプター

ヘリによる都市問題解決ゲームです。マップにシムシティ2000の都市データを利用しており、ゲームに収録されたマップのほかにも、フル3DCG化された自分の都市を飛び回ることもできます。シムシティ2000の都市を飛んでいる"SimCopter One"になれるゲームです。

現代の環境だとCPU速度の関係でエラーで落ちまくるのですが、海外の有志によるパッチを使うことで回避可能です。

シムコプター

ゲーム中に登場する1つ1つの建物が、シムシティ2000の建物に対応しています。画像の左に見えるはマイクロ波発電所、正面に見えるのは消防署です。街には車が走り回り、市民の歩く姿を見ることができます。結構自由度が高く、ヘリから降りて街中をのんびり歩き回ることも可能です。

後述する

ストリート・オブ・シムシティ

銃弾とミサイルが飛び交うド派手なバトルから、レースや配達になんでもござれのカーアクションゲームです。

こちらもマップにシムシティ2000の都市データを利用しており、フル3DCG化された自分の都市を爆走(暴走?)することもできます。シムコプターでは隠し要素だったドンパチ要素が中心の作品で、なかなか物騒なゲームです。

ストリート・オブ・シムシティ

グラフィックはシムコプターに比べだいぶ向上しています。ただ、車から降りて都市を歩き回るようなことができなくなってしまいました。都市を眺めるゲームとしては物足りない感じです。

やはり現代の環境だとうまく動作しません。有志によるパッチもシムコプター同様にあるのですが、残念ながら日本語版には対応していないようです。

この頃のマクシスのゲームは「シム〇〇」という名前になるのが一般的ですが、このタイトルはこの法則を踏襲していません。内容的に「シム」要素が薄い(ほとんどない?)ためでしょうか。

シムシティ64

HAL研究所による、64DD専用ソフトです。一度だけプレイしたことがあるのですが、シムシティ2000ベースのような感じがします(推測です)。関連タイトルの中ではプレイが最も困難なのではないでしょうか?

シナリオもPC版類似のもの、SFC版類似のシナリオが搭載されています。

昔から欲しいのですが、64DD本体が高すぎて手が出ません。だれか譲ってください。

本ページの情報について

冒頭で述べたように、あまりにも多様な機種で発売されているため、未所持のものの詳細に関しては私も把握しきれていません。

間違いやその他情報ありましたら、掲示板やメールで情報の提供いただけると助かります。

また、このページの一部は、掲示板に寄せていただいた情報を元にしています。ありがとうございます。