江戸川放水路と消えていったものたち

江戸川放水路は、旧江戸川部分の洪水対策が限界に達したために開削された。明治44年(1911年)の改修計画に基づき、大正5年(1916年)に着工、大正8年(1919年)に完成した。
2008年現在、竣工から90年が経過した。ここでは、その89年の間に消えていったものたちについて取り上げていきたい。

2009年2月7日 調べなおした結果を元にページを全面的に見直しの上、改題。


行徳橋周辺の位置関係図

現存しないものは茶色(道)と赤線(軌道)で示した。

  • 江戸川放水路
  • 行徳堰
  • 行徳橋(初代)
  • 東葛人車軌道
  • 江戸川放水路

    東京湾からの塩水遡上防止のため、大正9年(1920年)に竣工。現在は行徳可動堰の下に眠っている。
    カスリーン台風後に増水時の処理能力強化のため、昭和32年(1957年)に可動堰化される。

    行徳堰

    東京湾からの塩水遡上防止のため、大正9年(1920年)に竣工。現在は行徳可動堰の下に眠っている。
    カスリーン台風後に増水時の処理能力強化のため、昭和32年(1957年)に可動堰化される。

    普段、堰の上は水位が低いので、人間が渡っていたそうである。

    行徳橋(初代)

    大正11年(1922年)3月18日開通。木製。
    現在「旧行徳橋」と呼ばれている橋は、実は二代目である。初代の橋は上の図のように、行徳橋(二代目)と新行徳橋の間に存在した。放水路開削前まで南北に繋がっていた内匠堀とほぼ同じ道を辿る。

    末期(昭和20年代後半?)には橋の状態が悪化し、車の通行が不可能になったため、隣に仮橋が建設された。国土地理院の国土変遷アーカイブの写真(USA-M389-162 昭和22年8月8日)では既に架橋(西側)と行徳橋(東側)の姿を確認できる。

    行徳橋(初代)、架橋共に撤去された正確な日時は不明だが、完成一年後の写真では既に姿を消していることから、初代は二代目完成後に撤去されたと思われる。

    現行の行徳橋に関してはこちらのレポートで取り上げている。

    初代行徳橋のあったと思われる場所


    妙典側から望む。この右手にはポンプがある。ここから原木側堤防上の駐車場のような処まで橋が架かっていた。


    原木側の駐車場のようなところから望む。丁字路となっていた。

    東葛人車鉄道

    東葛人車鉄道は明治42年(1909年)に開業し、大正2年(1913年)に河原まで延伸。そして大正7年(1918年)に資金繰りの悪化に台風と放水路の開削が止めとなり、免許が停止され廃止。会社の詳細についてはここでは割愛する。佐藤信之氏著の「人が汽車を押した頃」が非常に詳しい。

    放水路の完成が大正8年(1919年)度ということから、放水路の建設中に廃止されたことになる。

    原木から、河原までその線路跡を辿ってきた。

    原木〜河原までの路線


    線路はだいたい右に見える送水管と共に対岸へ。


    対岸についた。漁協の桟橋が目印か。


    上の写真から後ろへ少し進んだところ。このまままっすぐ軌道が伸びていたようだ。が、自信無し。
    大正6年(1917年)発行の1:25000地形図を見ると、軌道は堤防には上がらず、下を進んでいることがわかる。
    なお、この先に舗装道路があるが、そのまま進むと堤防を上がってしまう。


    新行徳橋を過ぎた所。この下を進んでいたはずだが・・・。


    最後にこのあたりに河原荷扱い所がある。が、行徳橋があるために場所が把握がしにくい。

    おわりに

    100年も経っていないのだから、少しくらい痕跡があるだろうと思っていたが、何も見つけることができなかった。堤防自体も整備が行われるために、所々姿を変え、また周辺環境も鉄道、バイパスの開通や宅地造成によって激変した。当時からそのままの道が手がかりになったものの、痕跡を調べるのは容易ではなかった。

    参考資料

    このページの作成にあたって、以下の資料を参考にした。

    「市川市史年表」 市川市史編纂委員会
    「行徳の歴史大事典」 鈴木和明
    「行徳郷土史事典」 鈴木和明
    「人が汽車を押した頃」 佐藤信之
    「私たちの行徳今昔史・パート1」 本行徳フォーラム
    「江戸川改修の記録 工事写真集」 関東地方建設局江戸川工事事務所
    1:25000地形図 船橋 (T6,S7,S20,S28,S34,S40年)
    USA-M389-162 国土変遷アーカイブ空中写真
    国土交通省関東地方整備局江戸川河川事務所ウェブサイト

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